後編です。前編はこちら。
t-tutiya.hatenablog.com
補足:2020年/2021年試験について
前編で書くの忘れてたこと。これまで年2回の一斉試験で毎回行われていた3/4級試験は2021年からCBT試験のみに変わります。
2020年と2021年の試験について
www.toukei-kentei.jp
個人的には3/4級は、試験会場の雰囲気も含めて中学生/高校生に内容的にもオススメしたい試験だったので、この変更はちょっと残念です。
統計検定2級の勉強に使った教材
2級の勉強のために結構な冊数の教科書を購入しました。その中で有用だった物を紹介します。大まかに勉強した順になってて、先に行くほど内容が高度になっています。
①統計学の時間(Web記事)
1個目から書籍でなくて恐縮ですが、BellCurve社が提供している統計学の連載です。「Step1. 基礎編」がほぼ統計検定2級の出題範囲に対応しています。
電車に乗っている時や休憩時間にこの連載をひたすら読み進め、ひとまず出題範囲を把握しました。説明が理解できない箇所はひとまず飛ばしました(練習問題も全部飛ばした)。この後の勉強中に分からない概念が出てくるとまずネットで用語検索したのですが、7割はこのサイトを読み返す作業でした(練習問題は最後までやらなかった)。
②完全独習 統計学入門
- 作者:小島 寛之
- 発売日: 2006/09/28
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
実際にはもう少し後に買ったのですが、もっと早くに出会いたかった本。「確率論をほぼ使わずに統計を解説する」というムリゲーに挑戦して、見事成功しています。著者が「自分がが何を書こうとしているか(ここでは「統計とはなにか」)」という芯を貫いてないとこういう本は書けません。お見事です。
数式での解説が少ないことと、2級の範囲をカバーしきれていないので、これ1冊だけでは難しいです。統計を学ぶ1冊目にぜひともおすすめしたい本。
③コア・テキスト統計学 (ライブラリ経済学コア・テキスト&最先端)
コア・テキスト統計学 (ライブラリ経済学コア・テキスト&最先端)
- 作者:大屋 幸輔
- 発売日: 2012/01/01
- メディア: 単行本
⑩に打ちのめされ(後述します)、2級取得をあきらめかけていたのですが、「①統計学の時間」でおすすめされていたこの本のおかげで立ち直れました。
難しい概念を極力平坦に解説していて、数式の展開もできるだけ省略無しで解説してくれているのが助かりました。その時の土屋の実力にピッタリだったのです(こういう本を見つけられるかどうかが、勉強において大事なファクターだと認識しています)。
勉強の前半は、本書を通読しつつ、理解できない個所を①②に戻ったりネットで検索して復習しました。
④改訂版 日本統計学会公式認定 統計検定2級対応 統計学基礎
統計検定の公式なのですが、内容が難解であるとネットで非常に評判が悪い本です。実際、3級合格者が2級の勉強のために本書を読み始めたら撃沈すると思います。というか土屋がそうで、ネットで言われている通り「この本をするする読めるならすでに2級を取れるのでは?」という印象を受けました。
ところが、③を通読した後で④に移ると「読める! 読めるぞ!」って感じになって楽しかったです。大枠を理解した後なら、必要なことがコンパクトにまとめられている良書に思えます。勉強の後半は過去問を解いて、わからない所を本書の中から探して読むのを繰り返していました。
ちなみに、(難しいと思っていたから)頭から読むようなことはせず、読んだところにチェックを入れて、試験一週間前くらいにチェックの無い個所を読む時間を作って通読しました。この時も、試験には出ないであろう個所(2次元配置の分散分析とか、付録の章とか)は飛ばしました。
今改めて読み返しても、そこまで分かりにくい本ではないので、ネットで言われているのは改訂前のバージョンだったんじゃないかな? とも思っていたり。現在流通しているのは改訂版のはずですが、購入時には注意してください。
⑤日本統計学会公式認定 統計検定 2級 公式問題集
⑤A[2011-2013年]
日本統計学会公式認定 統計検定 2級 公式問題集[2011〜2013年]
- 発売日: 2018/05/25
- メディア: オンデマンド (ペーパーバック)
日本統計学会公式認定 統計検定 2級 公式問題集[2014〜2015年]
- 発売日: 2019/10/04
- メディア: オンデマンド (ペーパーバック)
日本統計学会公式認定 統計検定 2級 公式問題集[2016〜2018年]
- 発売日: 2019/03/20
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
どんな試験もそうですが最も効果的な対策は過去問を解くことです。
- ある年の分をひとまず全部答えを埋める
- 答え合わせしつつ解説を読む
- 解説が理解できない部分は他の書籍(特に⑥)を当たる。
- 解けなかった問題に赤丸をつける。
という順に過去問を総ざらいし、後日赤丸の着いている問題を解き、解けなければさらに赤丸をつけ……という感じで不得意な問題を洗い出していきます。
土屋の場合は確率とサンプルサイズを計算する問題が特に苦手で、最後まで赤丸が尽き続けました(と言っても2周目に入ったのは試験一週間前くらいだったかも)。
⑤Aと⑤Bはプリントオンデマンド形式で、多分Amazonでしか買えません。また、⑤Aは元データに不備があるのか、全体的に文字がぼやけてます(読むのに支障はないです)。
古い方から始めたら、時間の関係で、⑤Cは半分くらいしかできてなかったかも。
⑥統計検定2級合格のツボ(Kindle)
- 作者:秋月八十
- 発売日: 2019/08/03
- メディア: Kindle版
Kindleの電子書籍です。⑤の各問題についてのわかりやすい解説が載っています(⑤A~Cを持っていることが前提の本です)。過去問の出題年と解説の対応が目次に書いてあって便利です。試験の傾向を踏まえつつ詳細に解説してくれるので非常に助かりました。Kindle Unlimitedに入っている場合は無料で読めます!
⑦統計学入門 (基礎統計学Ⅰ)
統計学の勉強で誰もが使う教科書のようで、ネットでは「赤本」と呼ばれています。2級よりも広い範囲を取り扱っています。
これも最初は難解でさっぱり理解できず脱落したのですが、終盤では他の本で分からなかった個所の補完として読むようになりました。通読はしていません。
⑧統計学図鑑
見開き2ページごとに統計学の1テーマを図解入りで解説する文字通りの図鑑です。イラストがふんわりしていて軽い印象を受けますが、カバーしている範囲が非常に広く、2級の単元は全体の半分強くらいだったりします(マジで)。試験範囲内のページを通読し、他の本の補完として使いました。
余談ですが本書を読んでいる時に初めて「標本分散の値は常に母分散以下になる(だから、不偏分散の計算が必要になる)」という事を直感的に理解できました。
統計検定2級の勉強に(あまり)使わなかった(でも有効だと思う)教材
⑩Rで学ぶ統計データ分析
- 作者:本橋 永至
- 発売日: 2015/09/25
- メディア: 単行本
当初Rの出力結果が何を説明しているのかまったくわからず、腰を据えて学ぶ必要があると感じて本書を買いました。しかし、2級範囲ではほぼ回帰分析結果しか出ず、過去問を解いているうちに見方を覚えてしまったのでこの本は使いませんでした。
⑪心理統計学の基礎/ワークブック
- 作者:南風原 朝和
- 発売日: 2002/06/01
- メディア: 単行本
2級の勉強を始めるにあたり最初に買ったのが「心理統計学の基礎」でした。ネットでも評判の高い教科書で、実際良書なのですが、3級合格レベルの知識で読み始めるには厳しく、すぐに放り出してしまいました。準1級~1級の学習ではこちらを使おうと思っています。
その他のガジェット
書籍以外にも勉強時に使ったガジェットを紹介します。
⑬電卓
統計の勉強を始めた当初はコンビニで買った電卓を使っていたのですが、√と%が無いと話にならないことに気づき、3/4級試験の際には最低限の機能を持ったポケット電卓を買って使いました。会場で他の受験者がごっつい事務用電卓をガチャガチャ叩いて計算しているのを見て驚いたものでした。
その後、電卓での計算に慣れるにしたがってより良い物を使いたくなり、CASIOの実務電卓を乗り換えていき、最初から初めて5台目に買ったのが、現在も使っているこちらになります。
カシオ 本格実務電卓 12桁 検算機能 グリーン購入法適合 デスクタイプ DS-20WK
- 発売日: 2004/12/10
- メディア: オフィス用品
値段は高いんですが、試験で使える機能については3台目以降は特に差がありませんで、「筐体が大きく押し間違いが少ない」とか「滑り止めがあるので滑らない」とか「ボタンの反動が小さく押しやすい」とかの使い心地での違いしかないんですが、その使い心地の良さで大満足です。
この一つ下のグレードのこちらもおすすめです。
カシオ グリーン購入法適合電卓 12桁 テレワークにも活躍 デスクタイプ DF-120GT-N
- 発売日: 2007/08/29
- メディア: オフィス用品
⑭単語カード
各分布と検定/推定の対応がどうにも覚えられる気がしなかったので、文房具屋で20年ぶりくらいに単語カードを買って暗記帳を作り、移動中にペラペラめくっていました。リングを2つ用意して、答えられたら移動して……を繰り返す感じでした。
ちなみにこれ、最初はさっぱり覚えられず、また勉強を進めるうちに項目が増えていったんですが、ある段階を超えると「答えを出せないのは問いの設定を間違えていたからだ」と気づくことがあり、そのたびにカードを作り直しました。
この話に限らないんですが、「あ、この式とこの式は変形すれば同じだ」とか「この式でやってることは結局標準化だ」とかが分かって来た時、これまで勉強してきた断片が綺麗につながっていく感触があって楽しかったです。
⑮フリクションボールペン
今回、教科書にひたすらフリクションボールペンで書き込みをしました。土屋は字がかなり下手で、この手の書き込みを無意識に避けてきたのですが、フリクションは消去が容易なので、読める字になるまで書き直せるのが大きいです。同じ理由で単語カードについても丁寧に暗記帳を作るのを最初から諦め、読めなかったらそこだけ書き直すようにしました。
過去問でつまづき教科書を再読する時、式の展開が省略されている個所に遭遇すると、数学が得意でない土屋は省略個所を補完できず困ることが多かったので、式展開を書き足しました。また、「3.5.2節で書いた通り~」という記述を見るたびにページを手繰り直すのが面倒すぎたので、そこにページ数を直接書き込むようにしました。
また、用語を索引から引いた時、ページ上の単語を赤く囲むことで見つけやすくしたりと、教科書への書き込みは勉強を効率化する手法がいろいろあるなと感じました。なんで学生の時にこういうことに思い至らなかったのかな俺は(遠い目)。
次の目標
次は6月の試験で準1級の取得を目指します。正直ちょっと勉強に使える時間が足りなそうなのと、コロナの影響で開催されるのか……? というのが不安材料。