土屋つかさの技術ブログは今か無しか

土屋つかさが主にプログラミングについて語るブログです。

ボイスの収録における業界特有のノウハウの話

 ゲーム開発において、プロの現場と同人チームで大きな差があるとしたら、エフェクトとサウンド(BGM/SE)の分野ではないかと土屋は思っています(3Dだとまた違うんだけども、ここでは置く)。というのは、シナリオ/プログラム/イラストは、それぞれが独立したホビーとして成立していますが、エフェクトやサウンドは専門職な為、それをホビーとしている人がおらず、人を集めにくい/育てにくいからです。

 その為、エフェクト/サウンドについては、ゲーム会社内でノウハウが蓄積され、書籍やネットの情報として社外に出ることが少ないのかなという印象があります。エフェクトについてはまた次の機会に書くとして、今回はサウンドの中の「ボイス収録」の話です。

 今やノベルゲームでは必須となりつつあるボイスの収録というのもプロ特有のノウハウがありまして、というのも、ノベルゲームをフルボイスにすると、収録する台詞の数が数千に及ぶため、ちょっと思いつくだけでもこれだけ大変な作業になります。

  • まず、シナリオスクリプトから声優さんが読む台本を作るのが大変
  • 台本を全部印刷すると莫大な量になるので(実はこの印刷費が馬鹿にならない)声優さん毎に台詞をピックアップした台本を作るのだけどその作業が大変
  • 台詞は声優さんごとに1ボイスずつ録る(アニメのように複数人が同時に収録することは普通はやらない)ので、それをファイルに切り出すのが大変
  • 作られた数千のボイスデータを、シナリオスクリプトに埋め込むのが大変

 どの工程でもそうなのですが「膨大な量のデータ&作業をどう自動化するか」がポイントになります。

 土屋は実作業ではポリデモのスクリプトに音声ファイル名を埋め込んだことしかなく(その時はExcelVBAで自動埋め込みをした)、その前後の工程や、ボイスデータ量が膨大になった際の状況を良く知らず「会社ごとに自動化のノウハウがあるのだろうなー」とtwitterで呟いたら、プロの現場でゲームを開発している方たちからコメントを頂きました(皆様ありがとうございます)。

moonさん(超ベテランゲームプログラマ)
https://twitter.com/moonblogger/status/397929897936445440
箕崎准さん(やってること多すぎて書ききれない。マルチクリエイター)
https://twitter.com/MisakiJun/status/397922199874457600
桜井光さん(ディレクター/シナリオライター)
https://twitter.com/h_sakura/status/398270793416581121

 やはりどこも自動化が進んでいるのですねー。こういう省力化は大好きです。上に書いた以外にもボイスのデータファイル一個ごとに「ノイズの除去」「ボリュームレベルの調整」「前後の無音部分のカット」などもあるので、同人でフルボイスADVとかを作る場合、仮にスタジオを借りられるとしても、プロに委託した方が良いと思います(そういうサービスが実在するのかは知りませんが)。