土屋つかさの技術ブログは今か無しか

土屋つかさが主にプログラミングについて語るブログです。

テキストレイヤUI考察(4)「シルバー事件」「花と太陽と雨と」

 第4回(ひとまずラスト)は「シルバー事件(PS)」と「花と太陽と雨と(PS2)」です。これらは「汎用テキストレイヤなんて作れないよ!」というサンプルとして。

シルバー事件 case #1 decoyman 1/4
https://www.youtube.com/watch?v=5u7TVRIdp0U

(大画面の方が分かりやすいかも)

 まずは「シルバー事件」。この動画なんで途中からスタートするのかな……? できれば頭から見た方が面白いかも。

 動画だとちょっと分かりにくいかもしれませんが、1文字表示する度に、まず文字が出る場所にカーソルを出し、その後四角い枠を表示し、最後に文字をフェードさせています。遊んでいると慣れるのですが、他の演出も相まって最初は相当目がチカチカして、かつ酔います(その酩酊感が「シルバー事件」の良さでもある……のかなあ?)

 場面によってテキストレイヤの位置座標や行数、ページフラッシュ時の演出が異なるようです。3:00(http://youtu.be/5u7TVRIdp0U?t=3m1s)あたりだと、アクティブ文字列には下線が引かれていて、ページフラッシュ時に下部から3本線がせり上がってきて、ピクセル単位で文字を消していきます。

 会話の掛け合い時ですら、キャラ絵を含めて毎回表示座標が異なるので、恐らくはシナリオスクリプトで毎回指定しているんじゃないでしょうか。膨大な手間にクラクラしてきます。(この場面だけを見ると、話者の複数の発言の中で、最大文字数のページが、綺麗に右寄せになるように座標を決定しているように見える。そんなの先読みでは自動化できない。開発時には自動計算しているののかもしれない)

 タイプライター音は、文字出力中は「カタカタカタ」をループさせて、カーソルまで来たら「カチャン」に繋げているのでしょうが、カッコイイですね(プレイ中は延々とこれを聞かされる為にイライラしていた気もしますが)。

 「シルバー事件」はその他の点でもセンスが特出していますので、ADVを作る人は一通り見ておいて損は無いかと思います。まあ、真似したくても出来なかったり、したくなかったりするかもですが。

花と太陽と雨と 1日目
https://www.youtube.com/watch?v=kMZvWUhEh14

(大画面の方が分かりやすいかも)

 お次は「花と太陽と雨と」。もうなんでこんなUIなのかさっぱりわかりませんが、一応こういう動きをしています。

1・左側からテキストレイヤが赤のグラデで塗りつぶされ、右に抜けて行く(これがページフラッシュ)
2・文字が白色で表示
3・直後にその文字を白色から赤色にフェード
4・更に赤色から黒色にフェード

 一体どこの誰がこんな目がチカチカするUIを思いついたのでしょうか。いやカッコイイんだけどね!

 二つのゲームにセンスの類似性を感じた方もいるかと思いますが、正解です。この二つはどちらも須田剛一率いる「グラスホッパー・マニファクチュア」の作品。常に他を圧倒する(のだけど作家性が強すぎてゲームに寄与しているのか良く分からない)UIセンスでプレイヤーを驚かせてくれます。


 最初は「こんな演出まで許容できる汎用テキストレイヤなんか作れないよ!」というオチでこの二つを持ってくるつもりだったんですが、ちゃんと分析すると、なんとなく今実装しているテキストレイヤでどちらも再現出来る気がしてきました(ページフラッシュをテキストレイヤ外で処理しないといかんが)。

 ひとまず事例紹介はこれで終わりになります。また気になるテキストレイヤが出てきた紹介します。