何回かに分けて、既存ゲームのテキストレイヤUIについて考察したいと思います。アニメーションの実例が無いと分かりにくいネタなので、Youtubから拾った動画を貼りますが、必要上最低限の引用と考えて頂ければ幸い。まずは「魔法使いの夜(TYPE−MOON/PC(全年齢))」から。
魔法使いの夜 -Witch on the Holy Night- 体験版 Ⅱ
https://www.youtube.com/watch?v=9uTXlBIP91o&t=20s
(大画面の方が分かりやすいかも。20秒目から文字描画)
「魔法使いの夜」に関しては、テキストだけでなく、あらゆる演出処理が他と一線を画していてその辺も一杯書きたいのですが、本稿ではテキスト描画メカニズムに特化して論じます。
この動画はAutoで流しているので分かりにくいかもですが、キー入力待ちを解除すると、直前に描画していた分のテキストが半透明にフェードします。今フォーカスされているテキストにのみ視線を集中させる、大変美しい処理です。ノベルゲームでここまでやっているのは(土屋の知る限り)なかなか無いと思います。
複数行に亘った場合もまとめてフェードしているし、行の途中でキー入力を待ち、前半をフェードさせてから後半を表示したりもしているので、行単位の処理では無いようです。恐らく、現在アクティブな文字列が認識されていて、キー入力があるとそれまでアクティブだった文字列をフェードし、新しい文字列を描画しているのでしょう。旧アクティブ文字列のフェードと、新アクティブ文字列の描画が同時に行われている点にも注目。
吉里吉里をカスタム化してる……のかな? もの凄い力技(1文ごとにTJSのマクロを挟んでいるとか)でなければ、どうやっているのかパッとは思いつきませんが(どうも、力技のような気がしている)。
ちなみに、フォントは商用フォント(筑紫明朝)をイメージ化してソフトに同梱し、袋文字化しています(袋文字にしてからイメージ化しているのかは、吉里吉里のフォント変換ツールの仕様を確認していないので分かりません)。「テキスト」「書体」に対する並々ならぬこだわりを感じます。